安定七段

特東安定段位七段を目指すもの

オーラスを見直す

記事の内容

・押し引きの性質

・オーラスの例題

・トップ率の低さを改善する

 

 

 押し引き。この技術介入度の高い要素は、状況が複雑に絡み合う。

 麻雀には東1局から東4局まである。同じ点棒状況同じ手牌でも、東1局と東4局では押し引きが変わることが多い。東3局までであれば、親番が残っているかどうかでも変わるだろう。自身が東家か西家かでも変わるかもしれない。トップ重視なのか連対重視なのか、人によっても変わるものだ。押し引きというものは、あらゆる状況全てを含んで計算される。

 しかしながら、大半の打ち手はそこまで計算していないように思う。オーラスが訪れると直感で判断するのではないか。ある程度の指標となる点差を暗記していればそれで構わないように感じる。「10000点差以上あるな」とか「4000点差ないから聴牌ノーテンで変わってしまうな」とか、それぐらいであれば天鳳特上レベルではもはや常識だろう。かつてはそれも常識ではなかったはずだが。

 ただ、それだけでは足りない。より正確に事態を把握する必要がある。

 

 ここで具体例を示す。以下の点棒状況があるとする。

 

オーラス・西家・ドラ東

東家:23700

南家:12700

西家:33700

北家:29900

 

 自身はトップ目であるが、このオーラス、見ているだけでトップが取れるかどうか悩ましい。北家には2000の差し込みは出来ないし、ラス目にも差込はできない。2着目はラス目の立直に対して満貫放銃出来るから押しやすいし、3着目の親も2着目に降りることはない。ドラが東なのも押し返しやすさを後押ししている。つまり、この状況、自身で決めに行かなければトップは取りにくいということになる。加えて言うなら、自身が仕掛けても誰も降ろすことはできない。誰も降りないオーラスであるということだ。それでは押しやすくはなく、誰かと絶対にバトルすることになる。

 

横移動で1本場になって以下の状況になった。

 

オーラス1本場・西家・ドラ7s

東家:27600

南家:9800

西家:33700

北家:28900

 

 状況が変わった。ラス目は跳満か西家からの3900直撃状況と条件が厳しくなった。親は2900直撃か2000オール、北家も1000・2000がトップ条件である。ドラが7sなので打点が伴いやすく、ラス目がほぼ参加できないのでいよいよトップが厳しくなった。0本場よりも強気に構えないとトップは取れなくなる。

 このとき、3着に落ちたくないからと引き気味に打ってもあまり意味がない。攻めないとトップは掴めない。また、まさかの北家への2000差し込みもある。

 

 というわけで、条件などというものはコロコロ変わる。特に今回で言えば、1本場になって「2000点差し込み」が可能になったことは把握しなければならない。これを把握しているかどうかで、もしもというときに変わる。

 

 トップ率が低い人は、例に出したオーラスで引き気味に構え過ぎかもしれない。連対は取りやすいが、トップ率は大きく下がる。「トップ目である」ということだけで引き気味に構えている可能性はある。

 そう思うのは、自分がそうであったから。トップ率の低さを和了率と放銃率の数値を上げることで改善しようとしたが、何年もうまくいかなかった。数値以外の部分で何か変える必要があるなとようやく思った時に目をつけたのが「ラス前・オーラスの押し引きの見直し」であった。雑な放銃が増えたような気がするが、それでも1000本単位で結果が出ている。ひとまずはそれを信じていきたい。

 

 次はラス前について。「条件が変わらないなら降りる必要ないじゃん」という局面を見つける重要性を考える。