9月もろもろ
記事の内容
・9月の天鳳について
・副露率の低さについて
・数値に現れない部分の改善について
・おわりに
・8月の天鳳について
9月になった。8月の天鳳は調子がよかった。七段に上がれたし、鳳東でもトップ率もキープ出来ているし、ラス率こそ22%とギリギリの水準だが、高い水準で8月を終えることができた。
成績で言えば150本で48-30-39-30。安定段位9.4の平均順位2.38は流石に出来過ぎであるが、細かい数字が今までと違う。和了率.240、放銃率.130、副露率.333、立直率.165。和了率と放銃率の差こそ理想的な.110だが、どちらも高い数字である。今までの自身での鳳東であればこの差を実現するためには放銃率は.110程度にする必要があったと思う。この和了率をキープ出来るとは到底思えないが、参加率を上げている成果は出ている。副露率.333は、いろいろなことが意識できている成果だろう。後述する。
・副露率の低さについて
8月、鳳東150本での副露率は.333であった。鳳東の平均と比べると随分低いのではないだろうか。.350は当たり前に超えてくるイメージなので、ズレはあるのだが、戦えていないわけではないと思う。このまますすめるかどうかはともかく、いい意味での実感はある。
副露率を意識的に抑えたのには理由がある。それは、数値に現れない部分の改善をした副産物であった。
数値に現れない部分の改善とは、ある局に対するコンセプトについて、意識を変えてみたということである。特に、ラス前について、「この放銃を通じてもオーラスの条件は変わらない」とか「この和了を通じてもオーラスの条件が軽くならない」のであれば無理に仕掛けて和了率を上げなくていいという意識を持った。このせいで細かい和了りは減ったのだが、全体での和了率はなぜか増えた。調子がいいからだろう。
無理目な仕掛けも減らした。どうせ和了れない手について無理矢理頑張るというよりは高打点ルートを残した手組みを行うように努めた。だから、和了り1回の着順影響率が高いのだと思っている。
東風はすぐにラス前が訪れるので、この技術は必要だろうと思って意識を変えたら、カチッとはまった気がする。
・数値に現れない部分の改善について
今まで「役アリ満貫はダマ」を信仰していたが、東風であっても満貫一回でトップ安泰とは行かない。ほぼ確実に二の矢が必要になる。であれば、その満貫を跳満にしてしまえばのちのち差し込みという選択まで発生し、一撃でトップをもぎ取ることができる。そうなると「役アリ満貫はダマ」とは言えない。そのように、今までそれなりに当たり前に行ってきた無意識的なことが間違っている可能性があるということだ。多少経験を積んでしまってからでは改善できない部分があるとすればこれで、こびりついてしまった価値観はなかなか変えることができない。
それを変える時が来ている。そう思った。だから今、必死に変えている。自身の基礎に対して新しい知識をアップデートしていくのではなくて、自身の基礎さえ疑う。今まで積み重ねてきたような何かを崩すことになっても、結果が欲しいのでそうする。
なかなかに雲を掴むような難しさがあるが、なんとかしていきたい。
・おわりに
9月は200本打って、八段に昇段したいものだ。なんとか、トップ率28%をキープしつつ、結果を出したい。
オーラスを見直す
記事の内容
・押し引きの性質
・オーラスの例題
・トップ率の低さを改善する
押し引き。この技術介入度の高い要素は、状況が複雑に絡み合う。
麻雀には東1局から東4局まである。同じ点棒状況同じ手牌でも、東1局と東4局では押し引きが変わることが多い。東3局までであれば、親番が残っているかどうかでも変わるだろう。自身が東家か西家かでも変わるかもしれない。トップ重視なのか連対重視なのか、人によっても変わるものだ。押し引きというものは、あらゆる状況全てを含んで計算される。
しかしながら、大半の打ち手はそこまで計算していないように思う。オーラスが訪れると直感で判断するのではないか。ある程度の指標となる点差を暗記していればそれで構わないように感じる。「10000点差以上あるな」とか「4000点差ないから聴牌ノーテンで変わってしまうな」とか、それぐらいであれば天鳳特上レベルではもはや常識だろう。かつてはそれも常識ではなかったはずだが。
ただ、それだけでは足りない。より正確に事態を把握する必要がある。
ここで具体例を示す。以下の点棒状況があるとする。
オーラス・西家・ドラ東
東家:23700
南家:12700
西家:33700
北家:29900
自身はトップ目であるが、このオーラス、見ているだけでトップが取れるかどうか悩ましい。北家には2000の差し込みは出来ないし、ラス目にも差込はできない。2着目はラス目の立直に対して満貫放銃出来るから押しやすいし、3着目の親も2着目に降りることはない。ドラが東なのも押し返しやすさを後押ししている。つまり、この状況、自身で決めに行かなければトップは取りにくいということになる。加えて言うなら、自身が仕掛けても誰も降ろすことはできない。誰も降りないオーラスであるということだ。それでは押しやすくはなく、誰かと絶対にバトルすることになる。
横移動で1本場になって以下の状況になった。
オーラス1本場・西家・ドラ7s
東家:27600
南家:9800
西家:33700
北家:28900
状況が変わった。ラス目は跳満か西家からの3900直撃状況と条件が厳しくなった。親は2900直撃か2000オール、北家も1000・2000がトップ条件である。ドラが7sなので打点が伴いやすく、ラス目がほぼ参加できないのでいよいよトップが厳しくなった。0本場よりも強気に構えないとトップは取れなくなる。
このとき、3着に落ちたくないからと引き気味に打ってもあまり意味がない。攻めないとトップは掴めない。また、まさかの北家への2000差し込みもある。
というわけで、条件などというものはコロコロ変わる。特に今回で言えば、1本場になって「2000点差し込み」が可能になったことは把握しなければならない。これを把握しているかどうかで、もしもというときに変わる。
トップ率が低い人は、例に出したオーラスで引き気味に構え過ぎかもしれない。連対は取りやすいが、トップ率は大きく下がる。「トップ目である」ということだけで引き気味に構えている可能性はある。
そう思うのは、自分がそうであったから。トップ率の低さを和了率と放銃率の数値を上げることで改善しようとしたが、何年もうまくいかなかった。数値以外の部分で何か変える必要があるなとようやく思った時に目をつけたのが「ラス前・オーラスの押し引きの見直し」であった。雑な放銃が増えたような気がするが、それでも1000本単位で結果が出ている。ひとまずはそれを信じていきたい。
次はラス前について。「条件が変わらないなら降りる必要ないじゃん」という局面を見つける重要性を考える。
七段になった
記事内容
・七段昇段と手応え
・数値の見直し
・座学の重要性
・確率への対応
・七段昇段と手応え
先日、七段に昇段した。ここまで49本打って18-9-13-9と上振れが来ている。今回の昇段は、それに至るまでの過程がこれまでとは違う。あまりに変わった。それは後述する「数値の見直し」「座学の重要性」「確率への対応」で触れるが、小手先の技術力ではなくてもっと根っこの部分を変えたという感触がある。だから勝てる、というものではないが、ひとつ殻を破ったような気がする。
・数値の見直し
正確には、数値を見直さなくなった。
今まで、和了率23%放銃率11%を目標に掲げてきた。前回の5月~6月での鳳東では逐一数値を見直し、目標達成に向けて努力してきた。しかし、数値的な目標を達成しているにもかかわらず着順がよくない。これには理由があって「もっと優秀な数字にしなければならない」「この目標と着順分布には相関があまりない」のどちらかだが、この目標で成績が出ないとなると、もう数値に見えない部分での立ち振る舞いが悪いとしか思えない。そう思って、一旦目標を下方修正しつつ、あまり気にすることをやめた。
そこから、座学を増やすことで価値観を変えることにつながっていく。
・座学の重要性
「ウザク本300」「ウザク本301」「お知らせ本1」「お知らせ本2」を読み込むことにした。特にウザク本は2日に1回は1周するようにした。これとお知らせ本を通じて、手組みの価値観がまるっきり変わった。今まで和了率にこだわっていたが、和了りの質にこだわるようになった。大して意味のない安和了りを減らして、押す局面を増やして、放銃率も悪化した。それでも結果が付いてきた。もちろん運が良かった部分は大きいが、状況や展開に即した判断が出来るようになったと思っている。
特に、ラス前の手組みと押し引きが変わった。押そうが引こうがオーラスの状況が変わらないなら押したほうがいい。そういう局面がしばしばあることに気付いた。つまり、今までは事態を先延ばしにしていただけだった。
このことを知って、一気に押す局面が増えた。その分放銃率も上がるが、ラス前のギャンブルで勝てたときのトップ率は大きい。そうやってトップ率を上げた。
座学を通じて価値観を変えた。それは、数値では現れにくい部分の手組み押し引き判断に繋がった。
・確率への対応
座学を通じて押す局面が増えたということは、明確にめくり合いが増えたということである。つまり、勝つか負けるかの勝負をすることが増えたということであり、勝つこともあるが負けることも多くなる。
そうなると、めくり合いでいちいち一喜一憂しては疲れるだけである。正しいめくり合いをしているならば、「勝てばトップ負ければラス」という状況を甘んじて受け入れるべきであるし、繰り返せば自分にとって得であると認識して長い目で戦っていかなければならない。そういう気持ちを持てるようになった。
数値にこだわりすぎると、目に見えない部分の改善が遅れる。押し引きで悩んでいても、そもそもの手組みが誤ってることもある。そういう場合、改善すべきは押し引きではなく手組みなのに、押し引きを改善してしまおうとする。それは正しい努力ではない。
つまるところ、麻雀の本質を理解しなければならない。当意即妙な判断力が問われる競技であるから当然ではある。しかしながら、それが一番難しい。将棋で言えば中盤戦のような、分岐の激しい研究しにくい地力が問われる分野は、麻雀で言えば1巡目が始まる前に訪れる。局開始時のテーマ決めや他家の押し引きなどは1巡目の手前で行わなければならないが、それがなかなか難しい。ただ漫然と手組みしていないか。自分の押し引きは理解していても他家の押し引きを理解することを放棄していないか。現状3着目でラス目から立直が来た時に「またか」と思っていないか。しかしそれは当然だろう。浮いているよりも沈んでいるほうが押し寄りの判断をするのだから。不要な仕掛けをしてトップ目2着目の手を止めていないだろうか。不要な仕掛けがラス目を助けることになっていないか。
そういうことは、数値に現れにくい。数値に現れにくいからこそ、対策が遅れる分野である。そういうところはお知らせ本で学べる。学んだほうがいい。
麻雀は同じ状況が二度と来ないと言われる。その本質は、似たような状況でも判断が異なるということである。同じ聴牌でもラス目なら押すがトップ目なら降りる。同じ手牌でもラス目ならチーテンを取らないがトップ目なら取る。そういう判断力が問われる競技である。そしてそれは、実はそこまで周知されていないのではないだろうか。
まだまだ麻雀界はブルーオーシャンが残っているような気がする。
ラス前判断① ラス前に強く構える
ラス前。対面とトップ争い。上家の浮上によるラスの恐れを気にするよりもトップを狙いたい。以前の自分ならここから6sを軽くチーしていた。理由としては上家の親を流せば連対がほぼ確定するからである。
しかし、この局面、既に連帯する可能性が高い。そうであれば、トップを堅めたい。この手はツモ2p赤5p6sで満貫が確定する。受け入れ15枚のうち8枚、すなわち聴牌したときに半分以上は満貫が確定するということになる。
6sチーして和了れればオーラスは対面とのマッチレースだが、よくよく考えればそもそも和了ってもマッチレースなのがおかしい。このチャンス手を貰ったのなら、この局でトップ率を高めたい。だからギリギリまでは門前で打点を追っていきたい。少なくとも対面と4100点差、欲を言えば6100点差以上離したい。そして、この手牌ならそれが可能である。3900の和了りではそれはできない。
ずっとトップ率の低さを嘆いていて、オーラス捲くられのケースも多く、しかもその原因が分からなかったのだが、今まで当たり前にしてきたことを見返すように努めた結果、ラス前に課題があることが見つかった。ありがたいものだ。
形に強くなる②
【目標】形に強くなる
門清狂を10分実施して間違えた問題をあらう
(今回の記録:29問正解のスコア4063)
まとめ
・最小単位について、ノベタンのときは両端のどちらも最小単位になる。
・暗刻で抜いたら、対子で抜くことを忘れない。
・7枚の複合形を見つけると強い。
①
待ち 58(←反転で出ます)
パッと見で6は暗刻抜き出来ないので456を抜いて終わり。
45666778は、56667778の7が4になっただけなので概ね同じ形。この「45666778」の形を一瞬で把握する。
②
待ち 1346(←反転で出ます)
2を暗刻で抜くと1123345なので最小単位1・4があらわれる。また、最小単位に222と345をくっつけると36があらわれる1222345(2223445)。これで完了。
最小単位は1ではなく1と4である。
③
待ち 7(←反転で出ます)
112223334+345で4面子出来ているので7単騎となる。カン6を探したくなるが、ない。
④
待ち 12347(←反転で出ます)
右から抜いていくと1112233が残るので1234待ちだが、7まで伸びている。プレイ中は左からカウントして147だけ抜き取った。やはり7枚の複合形を見つけるのは大事なのかもしれない。
⑤
待ち 24578(←反転で出ます)
暗刻を抜くと残るのは3455678なので258待ち。また、最小単位5・8が出現するので3335と8999を作って47待ち追加。
⑥
待ち 57(←反転で出ます)
2を暗刻で使うと12334が残り25の両面待ち、2をトイツで分けると122334+22+77となる2と7のシャボが出来る。
実戦譜2
●週2ペースで実戦譜を載せる(破綻)
・今回のまとめ
①変則手か速いかを見定める
→変則手にしては残りにくい牌、あるいは手出しツモ切りを見る。
②3~7牌の先切りについて
→他家の河による。観察を欠かさないことが必要
●東1局0本場
上家のリーチについて。変則手かどうかを見定めるときに必要なのは、最終手出しの宣言牌4mの性質について考えること。七対子に見えるが、ターツ落としが入っているわけでもないし、白8mまではメンツ手だったけど4s7pあたりで方向転換した可能性はあるが、赤アリ麻雀では5sと4mは切り巡は逆だろう(既に5sが対子だった場合除く)。
何が言いたいかというと、安易に4s7pの外側を切って粘るのは得策ではないということだ。4mが愚形フォローであるならば先切りはじゅうぶん有りうる。この手牌なら、まっすぐ降りるしかない。
●東2局0本場
ここで打7pとした。前巡に切ってもよかったが、流石にもう持てなかった。他家全員向聴ぐらいには見える。難しいけれど、このバランス。たぶん前巡の中の段階で先切っても良かったし、そうすべきであった。特に今回は、ピンズが高いので先制されたら切れなくなってしまう。
このあと対面から147p待ちリーチがかかるも、こちらもツモ5pで聴牌。対面から5mで和了れた。タイミングばっちりで嬉しい。
●東3局1本場
8pチーとして5p2枚を使い切るようにしたが、これはスルーでもよかった。5p周りに引っ付けば5pは2枚使い切れる。使いきれるパターンがそこそこあるので無理して鳴くこともなかった。これは鳴きが下手。
https://tenhou.net/0/?log=2020071312gm-0061-0000-1693003b&tw=2
何切る 1
【目標】 打点を意識した手組が出来るようになる / 受け入れ枚数をちゃんと数える
今回のまとめ
・2翻打点は期待値に響く。積極的に狙うこと
・受け入れ枚数を数えたら案外大差でないことがある
→経験則的な感覚はひとつずつ疑っていく
・二度受けであれば、ヘッドレス両面両面向聴にとっていい
→7種24枚のうち、単騎になるのが8枚だけ。つまり、66%で良形になる。
①
場に1m1枚見えている。打9mで広さを求めるか打9sで一通を強く見るか。
実戦では打9sとした。今までは9mを切っていたが、一通を強く見た。結果はツモ6mのカン8m立直で流局した。
さて、この何切るでびっくりしたのが、打9mと打9sで受け入れ枚数が同じだったことだった。7種21枚で同様。打9mは全て良形だが打点が1300~2600。打9sはツモ6m7mが最悪だが5枚だけ。納得できる聴牌が組める可能性も高い。
大事なのは、そもそもの受け入れ枚数に差がないということ。実戦感覚としては差があるものだと思っていた。打9sにおけるツモ7mは受け入れにカウントしたくないので、感覚的なズレが発生するのもだと思われる。良形受け入れの感覚ぐらいは持っておきたい。
期待値で言えば、打9sが3243、打9mが2861と400ほどの開きがあった。つまりは大差で打9sということである。2翻打点が追えるときは期待値に如実に表れる。期待値を逃さないようにしたい。
②
場に2mが1枚見えている。だから迷った。実戦では時間オーバーで5pが出て行った。何に迷ったかと言うと、打34mの雀頭固定は2356pの4p二度受けの形からしてもいいのかとか、打2mのヘッドレスは流石に弱いかとか、打2pもあるけど2234mの形そんなに強くないよなぁとかを考えていたら全てが壊れた。
さて、こんなものはもう期待値にかけた方が早い。打2mか打34mか打2pか。
結果は打2m(4272)>打2p3p(4100)>打3m4m(3843)であった。これは2mが1枚飛んでいるという情報なしの結果なので、2mが1枚見えている場況込みならより差があるということになる。
打2mからの厳しい1p7pツモを除いても15枚ある、というのが大きい。一般的なヘッドレス両面両面の1向聴形は受け入れ8種28枚で単騎になる受け入れが16枚であり、単騎になる確率が高いから雀頭固定がよしとされている。しかし、今回は二度受けの形なので数字が逆転する。7種23枚のうち、単騎になる受け入れは8枚。これならば受け入れ枚数を優先してヘッドレスの形にしてもよいだろう。
感想
いずれも、学びのある何切るであった。特に、二度受け両面両面ならヘッドレスにしていい、というのは知らなかった。知識をアップグレード出来たのはよかった。